2014.05.27 中小企業で退職金制度をつくる


退職金制度は、大企業や規模の大きい中小企業では、
ほとんどの会社で制度が導入されています。


しかし、従業員10名前後のいわゆる零細企業では
退職金制度がない会社もたくさんあります。


そんな会社の社長さんが、
新たに退職金制度を導入しようと思う時に
考えていただきたい話です。


これまで営業一筋、技術一筋でやってきたオーナー社長にとって
退職金制度を作るのは初めて。
いざやろうにも何から手を付ければいいか分かりません。


退職金制度といっても、
多くの会社にある制度だからと、
あまり深く考えずに、
インターネットで世間相場を調べ、
どこかで見つけてきた退職金規定を加工すると、
それらしい退職金規定ができました。


果たしてこれで大丈夫でしょうか?


退職金制度とは、


30年後、
あなた方に、
2,000万円ずつ払うことを、
“今”約束します


という制度です。


この約束は絶対に守らなければならない約束です。


理由は二つ。


退職金規定で約束した金額は、

①従業員が持つ法律上の権利
②従業員に対する経済的な責任



① 退職金規定で約束した金額は、従業員が持つ法律上の権利


退職金は、給与と異なり、従業員を雇用すれば必ず支払わなければならないものではありません。
従って、制度を作らなければ、支給する義務はありません。


ただし、退職金規定を作ると、
規定に定めた額の退職金を支給する法律上の義務が会社に生じます。


もし、会社が倒産又は急激な業績不振に陥っても、
会社に残された財産の中から払える限りの支払いをしなければなりません。


もし、業績不振などの理由で約束通りの支給ができず、
従業員から不足額の支払いを訴えられると
会社は苦しい立場に立たされます。


もし、退職金規定を変更して退職金を減額したい場合、
これは従業員にとっての不利益変更になるため、
厳格な手続きが必要で、簡単ではありません。



② 退職金規定で約束した金額は、従業員に対する経済的な責任


退職金制度が導入されると、
従業員さんは退職時に規定通りの退職金が支給されるものとして、
住宅購入や老後の資金計画を立てます。


もし将来、会社の資金不足等により、
約束した金額の退職金を支給できなければ、
どうなるでしょうか?


お互いに信頼関係があれば裁判にならずとも、
従業員さんは理解してくれるかもしれません。


しかし、従業員さんにとって、
予定していた退職金を手にできない事実は変わりません。


これにより従業員さんの住宅ローン返済や老後の資金計画が大きく狂うことになります。


従業員さんが早期の自己都合退職であれば、
リタイヤするまでに穴埋めできるかも知れませんが、
定年退職の場合、事態は深刻です。


社長さんが従業員さんの幸せを願って作った退職金制度が、
結果的に従業員さんを苦しめることになるかも知れません。


こうなってしまった原因はただ一つ。


守れない約束をしてしまったことです。


退職金は給与と異なり、制度を作らなければ、支給する必要のないものです。
従業員さんも退職金制度が無ければ、退職金は無いものとして資金計画を立てます。


従って、退職金制度は、作ったからには絶対に支給するという覚悟が必要です。


また、退職金に世間相場は存在しません。


そのため、過度に“世間相場”を意識することなく、
自社の財務状態で無理なく運営できる制度を作ることが大切です。


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